※SES企業の新規案件開拓で稼働率95%を実現する営業戦略|プロが教える実践方法

「エンジニアの稼働率が70%を超えない」「新規案件が思うように獲得できない」――SES企業の営業担当者や経営者なら、誰もが直面する課題ではないでしょうか。案件の切れ目でエンジニアが待機状態になってしまうと、人件費だけがかかり続け、収益性は大幅に悪化してしまいます。

実際に私がテレアポ代行として関わったSES企業では、従来の営業手法では月に2~3件のアポイントしか獲得できず、エンジニア15名の稼働率は65%程度で推移していました。しかし、戦略的な営業アプローチに変更したことで、月間20件以上のアポイント獲得を実現し、稼働率を95%まで押し上げることができました。

本記事では、SES企業が直面する新規案件開拓の課題を整理し、稼働率95%を実現するための具体的な営業戦略と実践方法をお伝えします。明日から実践できる内容ばかりですので、ぜひ最後までお読みください。

SES企業が新規案件開拓で直面する3つの構造的課題

商流の深さによる利益率低下

SES事業で最も深刻な課題の一つが、商流が深くなることによる利益率の低下です。エンド企業から二次請け、三次請けと商流が深くなるにつれて、中間マージンが重なり、実際にSES企業が受け取る単価は大幅に下がってしまいます。

ある中小SES企業の事例では、同じスキルレベルのエンジニアでも、エンド直案件では月単価65万円だったものが、三次請けになると45万円まで下がってしまいました。この20万円の差額は、年間で240万円もの売上機会損失を意味します。エンジニア10名規模の企業であれば、年間2,400万円もの差額が生まれることになります。

商流改善は単なる売上向上策ではなく、SES企業の生存戦略そのものと言えるでしょう。SES Laboの調査によれば、エンド直案件を増やすことが利益率向上の最重要施策とされています。

案件の継続性と安定性の課題

SES事業では、案件の終了タイミングを完全にコントロールできないという構造的な問題があります。クライアント企業のプロジェクト完了や予算都合により、予期せぬタイミングで契約が終了してしまうケースが頻発します。

特に大型案件に依存している企業では、一つの案件終了が経営に大きな影響を与えてしまいます。従業員30名規模のSES企業で、10名が参画していた大型案件が突然終了したケースでは、一時的に稼働率が67%まで落ち込み、3か月間で約1,500万円の売上減少を経験しました。

この課題を解決するには、案件ポートフォリオの分散化と、常に新規案件のパイプラインを確保し続ける営業体制の構築が不可欠です。

エンジニアのスキルマッチングの複雑さ

SES企業の営業は、単純な商品販売とは根本的に異なります。在籍するエンジニアのスキルセット、経験年数、得意分野と、クライアント企業の要求を正確にマッチングする必要があります。

この複雑さが営業活動を困難にしており、アポイントが獲得できても「求めるスキルと異なる」「経験年数が足りない」といった理由で案件化に至らないケースが多発しています。実際に、アポイント獲得から案件化までのコンバージョン率は、一般的なBtoB営業と比較して大幅に低くなる傾向があります。

稼働率95%を実現する営業戦略の全体設計

エンド直案件獲得を軸とした営業方針

稼働率95%を実現するための第一の戦略は、エンド直案件の獲得比率を段階的に高めることです。具体的には、全案件に占めるエンド直案件の比率を、現在の水準から年間で20%ずつ向上させることを目標とします。

エンド直案件の開拓では、従来の「案件ありき」のアプローチではなく、「企業の課題解決」を起点とした営業手法が有効です。単にエンジニアの提案を行うのではなく、クライアント企業のIT戦略や事業課題を深くヒアリングし、それに対する解決策としてエンジニアリングサービスを提案します。

実際に成功した事例では、製造業の大手企業に対して「DX推進による業務効率化」をテーマとした提案を行い、3年間の長期契約で10名のエンジニア派遣を実現しました。単価も従来比で15%向上し、安定した収益基盤を構築できました。

パートナー企業との戦略的協業体制

自社単独での新規開拓には限界があるため、パートナー企業との協業による案件獲得も重要な戦略です。ただし、単なる「下請け」関係ではなく、相互にメリットがある戦略的パートナーシップを構築することが成功の鍵となります。

効果的なパートナーシップの例として、システムインテグレーターとの協業があります。SIerが受注した大型プロジェクトに対して、特定の技術分野でエンジニアを提供する関係を構築することで、安定した案件獲得が可能になります。

SES BASEの調査でも、信頼できるビジネスパートナーの開拓がSES事業拡大の重要要素として挙げられています。協業先の選定では、企業規模や技術力だけでなく、経営方針や企業文化の相性も重視することが長期的な成功につながります。

データ分析に基づく営業プロセスの最適化

稼働率95%を安定的に維持するには、営業活動をデータで管理し、継続的に改善していく仕組みが必要です。具体的には、アポイント獲得数、案件化率、平均契約期間、エンジニア別稼働状況を週次で分析し、課題の早期発見と対策実施を行います。

成功企業では、「エンジニアAのスキルセットに適合する案件が2か月以内に確保できない場合は、スキルアップ研修を実施する」「特定技術分野の案件受注が3か月連続で0件の場合は、営業ターゲットを見直す」といった具体的なKPIと対策ルールを設定しています。

データドリブンな営業管理により、問題発生から対策実施までのリードタイムを半分以下に短縮できれば、稼働率の大幅向上が実現できます。

新規案件開拓で成果を上げる実践的営業手法

ターゲット企業の戦略的選定方法

効率的な新規開拓を実現するには、闇雲にアプローチするのではなく、自社エンジニアのスキルセットと高い親和性を持つ企業を戦略的に選定することが重要です。具体的には、業界、企業規模、使用技術、開発フェーズの4軸でターゲット企業を分類し、優先順位を明確化します。

例えば、Java開発に強いエンジニアが多い場合は、金融業界のシステム更改案件や、ECサイトの機能拡張案件を重点的に狙います。また、AIやデータ分析の経験があるエンジニアがいる場合は、製造業のDX推進案件や、ヘルスケア業界のデータ活用案件をターゲットとします。

ターゲティングの精度を高めるため、過去の受注実績を詳細に分析し、「どの業界のどのような案件で高い成約率を実現できているか」を数値で把握することが出発点となります。成功パターンを見つけ出し、それを横展開することで営業効率は格段に向上します。

アポイント獲得率を高める営業アプローチ

SES企業の営業では、初回のアプローチで相手企業の関心を引くことが極めて重要です。特に、システム部門の責任者は多忙で、一般的な営業電話には慣れており、差別化されたアプローチが必要です。

効果的なアプローチとして、業界特有の課題や最新技術動向に言及した提案が挙げられます。「御社の業界では〇〇の規制対応が課題になっているかと思いますが、弊社では類似案件での対応実績があります」といった具体的な価値提案から始めることで、相手の関心を引くことができます。

また、アポイント獲得の確率を高めるため、複数チャネルでのアプローチを組み合わせることも有効です。テレアポ、メール営業、LinkedIn等のSNS活用を連携させることで、接触機会を最大化できます。私の経験では、テレアポ単体では20%程度だった反応率が、事前のメールアプローチを組み合わせることで35%まで向上した事例があります。

商談での差別化提案の構築方法

アポイントが獲得できても、商談で他社との差別化ができなければ受注には至りません。SES企業の商談では、エンジニアの技術力だけでなく、プロジェクト推進力や課題解決力をアピールすることが重要です。

効果的な提案資料では、単なるエンジニアのスキルシートを並べるのではなく、「このエンジニアがこのような課題をどのように解決したか」という具体的な事例を中心に構成します。特に、クライアント企業と同業界での成功事例があれば、説得力は大幅に高まります。

また、提案段階でエンジニア本人との面談機会を設けることも重要です。実際に働くエンジニアの人柄や技術力を直接確認してもらうことで、安心感と信頼感を醸成できます。

提案要素 従来のアプローチ 差別化されたアプローチ
エンジニア紹介 スキルシートの提示 具体的な課題解決事例の紹介
技術力アピール 保有資格の列挙 実際の開発成果物の紹介
料金提示 単価のみの提示 ROI/コストパフォーマンスの説明
サポート体制 一般的な対応フロー 専任担当者による個別サポート

受注後の継続契約とフォローアップ戦略

契約更新率を高めるクライアント管理

新規案件の獲得と同じくらい重要なのが、既存案件の契約更新です。一般的にSES企業では、新規獲得よりも既存案件の更新の方がコストパフォーマンスが高いため、更新率の向上は収益性に直結します。

契約更新率を高めるには、プロジェクト開始後の定期的なフォローアップが不可欠です。月次でクライアント企業の担当者と面談し、エンジニアのパフォーマンス状況、プロジェクトの進捗状況、今後の課題などを詳細にヒアリングします。

特に重要なのは、問題が顕在化する前の早期発見と対処です。「エンジニアのスキルが要求水準に達していない」「コミュニケーションに課題がある」といった問題は、放置すると契約終了の原因となりますが、早期に発見して適切な対策を講じることで回避できます。

実際の成功事例では、月次面談で「もう少し上級者が欲しい」という要望を察知し、すぐにシニアエンジニアを追加アサインすることで、契約を2年間延長できました。この迅速な対応により、年間で約800万円の売上を確保できました。

プロジェクト完了後の次案件につなげる営業活動

一つのプロジェクトが完了した後、そのまま関係を終了させてしまうのは大きな機会損失です。プロジェクト完了のタイミングは、次の案件獲得の絶好の機会でもあります。

効果的なアプローチとして、プロジェクト完了報告書の提出と同時に、「今後の課題と解決提案」を併せて提示する方法があります。完了したプロジェクトの成果を踏まえ、「次はこのような改善が可能です」「新たな技術導入でさらなる効率化が実現できます」といった具体的な提案を行います。

また、エンド企業との関係が良好な場合は、他部署への横展開も積極的に提案します。「今回のシステム開発で得られた知見を、御社の他部署でも活用できるのではないでしょうか」といったアプローチにより、同一企業内での案件拡大が期待できます。

長期パートナーシップ構築のための信頼関係醸成

単発的な案件受注ではなく、長期的なパートナーシップを構築することが、安定した稼働率維持の鍵となります。長期関係を築くには、技術力だけでなく、ビジネスパートナーとしての信頼性を示すことが重要です。

信頼関係の醸成には、約束の確実な履行が最も重要です。納期の遵守、品質の維持、コミュニケーションの透明性を徹底することで、クライアント企業からの信頼を獲得できます。また、エンジニアの体調管理や突発的なトラブル時の代替要員確保など、リスク管理体制の充実も信頼につながります。

長期パートナーシップを構築できれば、案件ごとの営業コストが大幅に削減され、より高い収益性を実現できます。

営業効率を劇的に改善する外部リソース活用法

テレアポ代行サービスの戦略的活用

SES企業の営業担当者は、エンジニアのアサインメント管理、既存案件のフォロー、新規開拓と多くの業務を同時にこなす必要があります。この状況で新規開拓の電話営業まで内製化すると、どうしても工数不足に陥ってしまいます。

テレアポ代行サービスを活用することで、営業担当者は商談やクライアント管理といったより付加価値の高い業務に集中できます。特に成果報酬型のサービスを選択すれば、固定費を抑えながら新規開拓を強化できます。

私が支援したある中小SES企業では、月額20万円の固定費でテレマーケティング担当者を1名雇用していましたが、月に3~4件のアポイント獲得が限界でした。成果報酬型のテレアポ代行に切り替えたところ、同じコストで月15件のアポイント獲得を実現し、その結果として稼働率が78%から92%まで向上しました。詳しくはIT関連の研修サービス企業:成果報酬型テレアポ代行で「アポ0件」から「月40件超」へ改善した事例で解説しています。

営業支援ツールとの組み合わせ効果

テレアポ代行サービスの効果を最大化するには、CRMやSFA等の営業支援ツールとの連携が重要です。アポイント獲得から商談実施、受注までのプロセスを一元管理することで、営業活動全体の効率化が実現できます。

特に重要なのは、テレアポで獲得したアポイントの詳細情報を営業担当者に確実に引き継ぐことです。「どのような課題を抱えているか」「予算感はどの程度か」「決裁者は誰か」といった情報が事前に把握できていれば、商談の成功率は大幅に向上します。

また、過去のアポイント実績データを分析することで、「どの業界からの反応が良いか」「どの時間帯にコール数が多いか」といった傾向を把握し、より効果的な営業戦略を構築できます。

投資対効果の測定と改善サイクル

外部リソースの活用では、投資対効果の定量的な測定が不可欠です。単純にアポイント数だけでなく、商談化率、受注率、受注単価、LTV(顧客生涯価値)まで含めて総合的に評価する必要があります。

効果測定のKPIとしては、「アポイント獲得単価」「商談化単価」「受注獲得単価」の3つを設定し、月次で数値をモニタリングします。また、獲得した案件の継続期間も重要な指標です。短期間で終了してしまう案件ばかりでは、長期的な収益性は確保できません。

定期的な効果測定を基に、アプローチ先企業の見直し、営業トークの改善、商談資料のブラッシュアップを継続的に実施することで、営業効率は段階的に向上していきます。

よくある質問

SES企業で稼働率95%を維持するのは現実的ですか?

適切な営業戦略と管理体制があれば十分実現可能です。重要なのは案件ポートフォリオの分散化と、常時3か月先までの案件パイプラインを確保することです。また、エンジニアのスキル向上支援も併せて実施することで、より高単価な案件への参画が可能になります。

エンド直案件の開拓が難しい場合はどうすれば良いですか?

まずは二次請けから始めて実績を積み、徐々にエンド企業との接点を作ることをお勧めします。パートナー企業経由でエンド企業の担当者と面識を持ち、信頼関係を構築した後に直接取引に移行するパターンが成功しやすいです。

テレアポ代行サービスの選び方のポイントは?

SES業界の知識があるかどうかが最重要です。技術用語やIT業界特有の商習慣を理解していないと、的確なアプローチができません。また、成果報酬型を選択することで初期リスクを抑えられます。過去の実績や継続率も必ず確認してください。

既存案件の更新率を高めるには何が重要ですか?

月次の定期面談とエンジニアのパフォーマンス管理が鍵です。問題の早期発見と迅速な対処により、契約終了リスクを最小化できます。また、プロジェクトの進捗に合わせて追加提案を行うことで、契約拡大の機会も創出できます。

新規開拓のターゲット企業はどう選定すべきですか?

自社エンジニアのスキルセットと親和性の高い業界・企業を優先的に選定します。過去の受注実績を分析し、成功パターンを見つけ出すことが出発点です。また、企業規模や開発フェーズも考慮して、効率的にアプローチできる先を絞り込みます。

商談での差別化提案はどう作成すれば良いですか?

技術力だけでなく、具体的な課題解決事例を中心とした提案資料を作成します。クライアント企業と同業界での成功事例があれば説得力が高まります。また、エンジニア本人との面談機会を設けることで、人柄や技術力を直接確認してもらうことも重要です。

営業活動の効果測定はどの指標を重視すべきですか?

アポイント獲得数だけでなく、商談化率、受注率、受注単価、契約継続期間を含めた総合的な評価が必要です。特に重要なのは「受注獲得単価」と「LTV(顧客生涯価値)」です。短期的な成果だけでなく、長期的な収益性も併せて評価してください。

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